去る2025年6月11日、北海道余市町にあるニッカディスティラリーサービス株式会社様にて、「カスタマーハラスメント対策セミナー」を開催しました。
当日は、当協会理事であり、北海道カスタマーハラスメント防止条例案策定において、北海道労働審議会特別委員を務める菅原祐子氏が講師となり、カスハラ(カスタマーハラスメント)への理解とその対応力を高める研修が行われました。
カスハラを“未然に防ぎ、拡大させない”ために
セミナーでは、カスタマーハラスメントが発生するメカニズムや種類・分類から始まり、「クレーム」と「カスハラ」の違い、初期対応の重要性など、現場で即活用できる知識が紹介されました。
また、実際の事例紹介やグループディスカッションを通じて、参加者が主体的に「どう対応すべきか」を考える時間も設けられ、現場での対応力強化につながる内容となりました。
3つの守り「事業所・現場責任者・従業員」
菅原講師は、カスハラ対策には“3つの守り”が重要であると強調しました。
- 事業所による守り:正確な情報収集、社内申請ルートの整備、マニュアル化
- 現場責任者の守り:早期介入と従業員のメンタルケア
- 従業員自らの守り:接客スキルと報連相の徹底
「もてなしの心」を基本に据えつつ、実践的な対応スキル(クッション言葉、部分謝罪、Ask話法など)の習得が、カスハラを未然に防ぐカギとなります。
多様な価値観と向き合う姿勢
セミナー後半では、当協会会員で台湾出身の鄭書羽(てい・しょう)さんによる経験談も紹介されました。インバウンド顧客対応においては、相手の文化的背景や価値観を尊重し、柔軟な対応を心がけることで、トラブルの未然防止に大きく貢献できることが語られました。
グループディスカッションでの参加者の声
参加者からは、
- 「カスハラの分類と対応の違いが明確になった」
- 「事例を通じて現場の対応を具体的にイメージできた」
- 「自社にもマニュアルが必要だと実感した」
など、前向きな感想が多く寄せられました。
北海道では、2025年4月に「北海道カスタマーハラスメント防止条例」が施行され、徐々にその認知が広がってきています。
札幌販売士協会では今後も、道内のさまざまな業種・業態の皆さまに向けて、カスタマーハラスメントへの理解と対応力を深める活動を継続してまいります。
こうした取り組みを通じて、販売現場で働く方々の地位向上と、安心して働ける環境づくりに貢献していきます。